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騙し絵

 

 

 

蛇の首を持つ螺旋に巻かれ

DNAが神話の中で親和を見出し

シンメトリーな掌に転がされる

淫靡な想念が宙に放つ幾何学模様の編巫女み

 

図らずとも図りたり

 

騙されたのか、隠したのか

見えない、が見えた時

何故に探り当てることに躍起になっていたのか

呵責をリフレインさせる

 

世界が隠されたのは見え過ぎる事を危ぶんだ先人の

手先の全てが見えてショートした脳が

人を殺めることに飽き飽きしたからで

 

此処にも、手が、鳥が、いる

昨日は見えなかった場所にいる

 

日常を離れたところで描き足されているのかもしれない

 

咎めないから出ておいで

 

あなたの隣にいた鳥が消えた、螺鈿迷宮の果てには

鳴き声だけを籠に入れた採掘労働者の横を

カナリアが飛び交う庭があり

太陽ではない白い光に照らされるのだ

と、埃の被った本には書かれているらしい

 

落盤で消えた洞窟の中

司書が教えてくれた騙し絵が逆回転する仕組みを

伝える相手がいない

 

 

 

 

2014年7月 文学極道優良作品 次点佳作

 

 

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